特撮（特殊撮影技術）の醍醐味とは、超高層ビルがひしめく大都市をも圧倒するほどの巨大怪獣とウルトラ戦士たちの対決もさることながら、夢をかなえる行動力やチャレンジ精神などの希望を与えてくれる点でもあります。

映画『キング・コング』に感化され誕生した世界的な大ヒット邦画『ゴジラ』に始まるシリーズ作品、また1960年代の『ウルトラマン』シリーズの台頭で、ますます人気を集めたジャンル、特撮の歴史をひもときます。

八木監督を含むX世代の多くの人たちにとって、幼少期の憧れといえば、特撮ヒーローでした。特撮を大きく前進させた八木監督にとって、子どもの頃に夢中になった特撮の世界が与えた影響や、特撮への思い入れについて語ります。

幼少時にメディアから受ける影響は大きいとも言われており、ずっと何年も後になってから、若い頃に出会った作品が自分に与えた影響力にふと気付く映画監督も少なくないようです。大学時代に所属していた映画サークルで監督が出会った、思い入れのある映画作品について振り返ります。

SFの世界や量子論を学び、豊かな想像力を膨らませてきた監督は、ごく自然と異世界旅行に憧れを抱くようになりました。さすがの監督でも異世界旅行にはまだ手が届きませんでしたが、その代わりにギリシャでの数々の出会いが待っていました。その後の人生の分岐点となる価値観の扉を開ける鍵となった、監督にとって大切なギリシャの旅についてご紹介します。

入社後、すぐに特撮の世界へと飛び込んだ八木監督ですが、伝説的な特撮スタジオの円谷プロダクションでは、当時、一般的な新入社員教育というより、新人でも作品制作の即戦力として実践あるのみという社風がありました。新人時代から学びながら豊富な知識を培ってきたコツを伝授します。

映像業界では一般的に各助監督の役割が細かく実務区分されています。各ポジションとその担当業務について詳しく説明しながら、数年間の現場経験を経て、助監督を担当した八木監督も自身の助監督時代の思い出について語ります。

助監督としての腕を買われた八木監督は、『ウルトラマンガイア』第49話の監督を任され、その後、一躍シリーズの監督兼特技監督へと大抜擢されました。歴代の監督や社風を大切に、お世話になった方々の教えを生かしつつ、自分らしさを発揮する秘訣を伝授します。

特撮は、伝統への敬意と革新性がうまく融合した世界です。日進月歩で進化する特撮界で、監督とプロデューサーを担当したウルトラマンシリーズに意欲的取り組んだ経験をもとに、最新コンセプトである『AKARI』のチーム作りで大切にした点など、新作品への思いについて語ります。（パート2では、『AKARI』撮影現場から戦闘シーンを含む制作過程を解説とともに詳しくご紹介します。）

シナリオ、世界観の構築、撮影チームの構成から始まる特撮制作の流れに沿って、アイデア出しから完成まで『AKARI』のコンセプトを順序立てて監督が紹介していきます。

巨大で迫力のある各キャラクターの比重が大きい特撮の世界。キャラクターのコンセプトを伝える方法、デザインを活かしたビジョンやストーリー作り、また制作現場の状況や規定の確認など、監督とデザイナーの制作過程のやりとりをお見せします。

スリル満点の格闘シーンは、見どころ満載で特撮の大きな目玉でもあります。アクション監督、格闘の振付家、スーツアクターと協力しながら、キャラクターのコンセプトや着ぐるみの構造に合わせた自然な動きなど、ダイナミックで衝撃的な格闘シーンの表現方法について解説します。

デザインが決まると、衣装と着ぐるみの作成に取り掛かります。美術チームと協力しながら、デザインを実現する方法を紹介します。

特撮の要とも言える、操演部との絆について、八木監督が語ります。怪獣が空を飛んだり、戦ったり、尻尾を振ったり、物体を吹き飛ばしたりできるよう、技術チームが伝統的な特殊技術と革新的な技法を融合させて実現させます。

特撮といえば、怪獣の猛攻撃にさらされる都会の様子が見どころとなるミニチュアの撮影です。撮影現場の構成や特徴的なポイントなど、『AKARI』のミニチュアセットについて監督が解説します。

伝統と革新の融合という特撮の特徴が、優れた撮影技術によって『AKARI』ではより顕著に表現されています。定番と最先端のテクニックを組み合わせながら、何世代にも渡り愛されてきた特撮らしさを守りつつ、『AKARI』らしい個性的な作風に仕上げた制作チームの手腕について語ります。

セットの全体像から爆発の大きさなど、スタジオや撮影現場の限界と可能性を熟知することは、特撮現場において極めて重要です。監督が特撮スタジオの最も有効な活用方法を伝授します。

視界が悪く、自由に動き回ることが難しく、表情を伝えにくい戦闘スーツをまとった状態でも、俳優には豊かな表現力が求められます。撮影現場での監督業、また俳優や撮影班との仕事の取り組み方に関するアドバイスを紹介します。

撮影後は編集作業が大変です。スタジオ撮影したままの映像素材を、夢やワクワク感あふれる作品としてお届けするため、作品に新たな命を吹き込みます。一般的なポストプロダクションの編集作業や『AKARI』で取り入れた編集工程について語ります。

本来なら優しい気性のピタゴドンの大暴走に、AKARIが潔く立ち向かうシーケンスとして、八木監督の特撮プロセスが集約された約6分のバージョンの『AKARI』の完成です。

シナリオからシーケンスへの編集を効果的に進めるコツを八木監督が伝授します。

架空の世界『AKARI』の創作過程で構築したコンセプトや原理について、より詳しく監督が解説します。

ミュージックや音響効果、またオーディオ技術など、作品における音ついて、監督が語ります。

カメラアングルから爆発に至るまで、『AKARI』ならではの撮影方法、また操演の主な技法と舞台裏を解説します。